エンドロールを最後まで見て、客電が灯る。
席を立った俺たちは、お互い一言もしゃべらず、黙々と廊下を歩き、エスカレーターを降り、調布駅前の喧騒の中でようやく口を開いた。
「泣いちまったぜ!」
俺は白状した。
和尚、ジャングルも後でわかるが、泣いていたのだ。
『燃えよ剣』
俺たちは三者三用の捉え方をした。
それが映画の面白さでもある。
俺が新選組を知ったのは、ガキの頃。
「ぼく、トシちゃん25歳」
このセリフが頭から消えぬ、『マカロニほうれん荘』によってである。
ダンディーでおっちょこちょいなトシちゃんは、
『男組』の流全次郞、神竜剛次、
『硬派銀次郎』の銀次郎と同じく、
俺にとって大好きな漫画のキャラクターの一人である。
バラガキのトシ、
土方歳三は、近藤勇とともに幕末を駆け抜けた、日本人が誇る男、漢、俠。
司馬遼太郎の『燃えよ剣』
実はまだ最後まで読んでいない。
甲府で改めて挙兵する辺りで止まっている。
切なくてね。
最期がわかっているだけに。
映画『燃えよ剣』がやるならば、そこから最期は映画で知るのも面白い。
そして、その最期に近い場面で俺は不覚にも、一筋の涙を流してしまったのだ。
何処とは言わない。
映画を見た人とは語り合いたいが。
面白い事に、俺が泣いた場面に、ジャングルは逆に反発したという。
これも映画の面白さだな。
もちろん、俺も、和尚も、ジャングルも
司馬遼太郎『燃えよ剣』
は読んでいるし、幕末明治が好きな人間でもある。
電車に乗って、俺はまた口を開いた
「刀、欲しくなるな!」
みんなで頷く。
俺たちは、分倍河原の酒場【扇家】へ。
俺と和尚が飲む!と言えば、ここなのだ。
乾杯して、ガツポンを食べる頃には、会話もいつもどおりに戻る。
なんせ、和尚やジャングルはわからないが、映画終了後、俺は泣いてしまった事を悟られたくなかったゆえ、前の席にいた和尚に声もかけず、ジャングルにはトイレに行くと行って、二人と顔を合わせるまでの時間を稼いだものだ。
エンドロールでは涙を我慢した。
そして3人が重い口を開きながら、流れ着いた酒場が【扇家】だった。
酒があってよかったよ(苦笑)
そして、もっとシリアスな映画でもよかった、とは思う。
そしたら、一言もしゃべらず、扇家に来た事だろう。
飲みながら、俺は二人に問うた。
酒が二人の心を吐露する。
そう、泣いてもおかしくはない映画である。
何しろ、【誠】の旗印を見ただけで胸熱くなる、熱き俺たちである。
バラガキのトシの半生に泣かないわけにはいくまい。
俺は改めて、司馬遼太郎『燃えよ剣』を読もうと思った。
映画を見た後、もう一度、今度は原作の司馬遼太郎に問うてみたいのだ。
約束とまではいかないが、
いつかやろうぜ!
と、俺たちが語った事がある。
それは、土方歳三の人生をなぞる旅をする事。
車で東京を出て、京都へ。
そして東京、甲府、北上して最後は函館五稜郭への旅。
兼定、しかも【之定】と思いし、刀を三者三用で持って。
五稜郭では泣いちまうんだろうな。
まあいい。
日本男児の英雄を、日本男児が尊び、刀を持って旅をする。
ああ、士道に生きた真のサムライよ。
あなたたちの生き様は、間違いなく、日本男児の血となり肉となっている。
それを証明するような生き方をしていこう。
そう誓いたくなる、『燃えよ剣』なのであった。
追伸
シリーズものにして、より細かい描写にした方がいい、という要望はあるが、
司馬遼太郎『燃えよ剣』
が好きな人は見てみて損はない。
そしてサムライ、武士道が好きで、土方歳三の半生を歴史の史実として知る人でも、『燃えよ剣』は読んでおくべし。
感動の深度が違う。
旅のオープニングテーマは、壬生狼の『壮烈疾駆』だな。
吹けよ、俠の風!
呼べよ、俠の嵐!
心に日本刀‼️
甦れ武士道‼️
〓Japanese Hardcore & Soul〓
GUILLOTINE TERROR
吼流魅KURUMI