蒸し暑いぜ、多摩!
早出にて捨てコン上墨出し。
親墨、鉄骨芯、機械基礎、防油堤墨出しであるが、斜めがあったり、機械基礎端部が法面にきたり、高さが違う捨てコン上にきたり、と、なかなか面倒臭い。
いつ雨が降り出すかわからないゆえ、瞬発力をつけて仕事しなきゃならないわけだが、この現場の決まりとして、8時半と9時に2回朝礼がある。
こんな雨がいつ降るかわからない時は、朝礼に出ないで仕事を進めるのが、我社のやり方。
いつ雨が降り出すかわからないならば、ひたすら仕事を進めなきゃならん。
その重要な、一分一秒を争う時に、朝礼というのは合理的ではない。
大変お世話になっている所長からの依頼だが、この現場は設備会社が元請けであり、ゼネコンは1次下請け、うちの会社は2次となり、泣く泣く流儀が違う元請けに合わせなければならない。
朝礼時、俺はマスクの下で舌打ちをし、口を半開きにして、
ばかばかしいぜ、まったく!
と、ガキの反抗期のような態度で話を聞いていた。
「雨降って墨出せなくなったら、誰が責任とるんだよ?」
俺は心の中で苛立っていた。
誰も責任なんかとりゃしねぇ。
結局、雨が降って墨が出せなくなったら、うちがケツを持たなきゃいけなくなるのだ。
乾いている時間を無駄にし、雨が降ってきたら知らん顔である。
案の定、雨が降ってきた!
9時頃と10時頃だろうか?
最初の雨はすぐやんだが、10時の雨はなかなかやまず降り続いた。
墨が滲み、図面は濡れる。
雨足が強くなる。
朝礼に従わせ、無駄な時間を使わせた元請けの連中は、先ほどまで俺たちの仕事を見下ろしていたが、気がつけばいなくなっていた。
まったく仕事を知らねぇ馬鹿野郎だぜ。
こんな時、施主や元請けに毒づく俺は、まだまだ青いのか?
いや、現場を知らぬ者が、現場を仕切るから、職人の怒りをかうのだ。
ただいま2時前。
早出一服無し昼メシ無しの仕事も、ようやく一息つける。
カッパを着ることなく、だが、光波は決して濡らさない。
速乾性のロンTは気がつけば、体温とほんの少しの風により乾いた。
空は雲が多いながら、青空も見えてきたぜ。
向こうの青空に、小さな白い飛行機が見える。
俺の夏はまだ終わらねぇ。
コロナ?
緊急事態宣言?
知らねぇよ。
俺は目の前の、この仕事に全力投球し、そのあとに飲もうと思っているビールの事と、川に遊びに行く事しか眼中にないぜ。
俺は骨の髄まで労働者。
そしてそれが誇りなのだ。
吹けよ、俠の風!
呼べよ、俠の嵐!
心に日本刀‼️
甦れ武士道‼️
〓Japanese Hardcore & Soul〓
GUILLOTINE TERROR
吼流魅KURUMI